わたしという水に

今日が落ちて

残照が結晶する

うたの

誕生





今は冬だ

思い出せと

冷たい風が

吹き荒れる

雪のない都会には





混乱の中に

花びらを

ひとひら

一瞬でも

君に微笑みを





背中に日射し受けて

自転車をこぐ

前に後ろに君

笑顔と追いかけっこ

ふたり 春の風になる





大きすぎる制服

気にして 君

散りはじめた

桜の下から

歩きはじめる





桜の花びらと

一緒に

散らしてはいけない

わたしの中の

淡い色彩





紫の

プライド纏い

大勢の中でも

アイリス

毅然とひとり





黄昏訪れた

庭の片隅で

ドクダミ

白い十字かかげ

主の家を守る





泰山木の

芳醇な香り

ほわり

ああ ここにも

幼き日々の欠片





レモンバーム

通り抜けてきた

地上30センチの

光と風

君の衣となれ





人の間で

生きるとは

蜘蛛の巣

に捕らえられても

空を仰いでいるということ





アメジストセージから

ベルベットの風

あなたと過ごした

日々の余韻

頬をかすめて





君の

当たり前の

風景になる

さりげなく

そばにいて





畑の隅で

腰を伸ばす農夫

視線の先に

すくすくと

向日葵の列





限りなく

透明な

器になろう

己を透かして

あかりの映る





たましいの

解き放たれる日まで

育んでゆくのだ

幼き日のぬくもり

故郷の空





人生って

ばらまかれた

パズルの

ピース

探しているようなもの





花が

こんなに

綺麗なのは

ここまで

生きてきたから





ワンフレーズが連れてきた

少女のわたしに

手を振ろう

元気だよ

今もひとりで歌ってる
























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