わたしのクリスマスイヴ

イヴは毎年教会で過ごします。今年は長男・次男とともに。
集った人たちはローソクを手に讃美歌を歌い、イエス・キリスト誕生の頃に思いを馳せます
――
小さな馬小屋での、世界ではじめてのクリスマスに。

イヴ礼拝の後は、有志でキャロリングに出かけます。信者さんの家をいくつか回り、玄関先でクリスマスの讃美歌を歌うのです。
普段教会に来られない方々もいて、毎年楽しみに待っていてくださいます。
冷え切った夜の空気の中で暗闇に紛れて歌うのは、とても気持ちの良いものです。

キャロリングから帰ってくると、牧師夫人手作りのおうどんに舌鼓。身体も心も温まります。
とても小さな教会です。でも、涙もろくてちょっとおっちょこちょいの牧師先生と、
子どもが大好きでいつまでも少女のように可愛らしい牧師夫人のおられる教会は、
どんな人も歓迎してくれる、温かい教会です。
集う人は変わり者が多いという噂もあるけど・・。 子どもたちにとっても、わたしにとっても素敵なイヴでした。







イヴこぼれ話



キャロリングに行った後の出来事。
うどんやお菓子を食べている最中、突然長男が叫びました。
「ゴキブリ発見!」

指差す方を見ると、講壇の後ろの壁にゴキブリが!
 
「暖かいから出てきたんだねえ」と誰かの呑気な声。

何を思ったか、牧師先生、箸を手に立ち上がります。
「そんなことをしたら、壁にしみがつくのに」と牧師夫人。
「洗剤をかければすぐ死にますよ!」と言いながら後ずさりするAさん。
ゴキブリを見るのも嫌なのでしょう。

わたしが洗剤を取ってくると、すでに先生は箸でゴキブリをゲット!

食べ終わってからみんなで後片付け。
どんぶりを抱えて台所に行ったAさんが「キャッ!!!」と叫びながら戻ってきました。
行ってみると、流しにゴキブリの死骸が。先生の仕業ね。

「手術して、患者さんの腹からゴキブリが出てきたらどうするんだ?」とWさん。
「逃げます!」とAさん。Aさんは看護婦さんなのでした。
「どんぶり、落とさなくてよかったわ」

帰る前、玄関前で写真を撮ることになりました。
牧師先生、やおらクリスマス会の手品で使った黒いシルクハットをかぶります。

「あなた、やめてくださいよ」と牧師夫人。
「先生、ステッキは?」とわたしが言うと、「あ」と先生、玄関へ。
出てきたときには腕に傘が一本。

黒っぽい背広と黒のシルクハットと傘が妙に似合って、英国紳士のようでした。






20011225日)




























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