彼方から降り注がれる花びらを掬うてのひら春にかざして




流れゆく時の狭間で立ち止まり目と目を交わすそこが日だまり




ひらひらと弥生の空に雪が降る故郷の春はまどろみの中




正夢の記憶何度も甦る天に帰った君の哀しみ




公園に午後一番の光満ちコブシ咲きかけ飛翔の準備




パパ逝って住まいを変えた悲しみは消えないけれど2年が経った




突っ張っている君だけど寝る時は小さな電気なぜか消さない




花合わせせがむと母は鼻をつけ笑った遊ぶゆとりはなくて




卒寿過ぎひとりで暮らす老人の庭を彩る梅ピンク色




雨あがり天上に窓次々に開いて白雲魔法にかかる




片隅にひっそりといる壁の花にもそれなりの意地とプライド




角が取れた丸くなったと言うけれど君の芯には激しい炎




薄氷を踏む人生に耐え切れず飛び立った君長月だった




ワイシャツに顔をうずめて目瞑れば君の鼓動が生きよと告げる




親友と思いし友の言の葉に揺れていたのは微かな嫉妬




北風に春の香りがするように涙にもふと笑顔の気配




孫に父 いい人生と 言っており 継いだ家業が天職だった




引退はまだできないと言う父の趣味は農業傘寿迎える




あなたから微かな光放たれてネットの空に星が瞬く




人間は矛盾だらけの生き物で言った途端に否定している




最善は人それぞれで石橋をたたくのも突っ走るのも良し




モノトーンの我の世界にただいまと君が帰宅色蘇る




潔く散る桜の傍らで朽ちながら椿うらやみもせず




梅雨明けて失くしたものを探してるそぼ降る雨か君の涙か




偏見は気づかない間に忍び寄る心の眼開けふるいにかけよ




人の眼にいかに小さく見えるとも我に賜いしうたにて足りん




さんざめく言葉のシャワー浴びている繋がりたくて人は誰かと




繰り返しのように見える毎日にたからの欠片ちりばめられて




軽やかに流れていこう行き過ぎる人のこころ水面に映して




カサカサと枯葉を踏んで遠ざかる君の一日よ恙なく行け




年の瀬の商店街に売り出しの赤字寂しく来る客を待つ






























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