きりもなく鉛の色の彼方から降りてくる この雪の行列
冬桜ひっそりと咲く公園で携帯抱いて咽び泣く女性(ひと)
うすぼけたルーティーンから抜け出して空を仰げば小春がぽかん
お雛さま今年も会えて嬉しくて飽きず眺める菱餅どうぞ
疑いの森で出会った主なる神したがい行けば光あふれる
ひとりには最近慣れた時折わたしの窓をたたく人がいる
ふんわりと抱き締めあって見つめあい丸い地球は笑顔が似合う
不得意な社交全般ひとまかせ君の陰ならスマイルだけで
行き先の見えない旅も君となら歩いていける笑っていける
この世界つくられた神以外には正義はないと決めよ心に
弁の立つことよりまずは誠意でしょ「負けるが勝ち」と諺にある
息子だけ遊戯の輪から逃げ出して芝生を駆ける わたしの子だわ
「漫画でも読まぬより良い」担任の言葉そこだけ忠実遵守
モノクロに変わったはずの思い出の褪せない色は我の道標
賜りし生を謳歌し道端の花は微笑む誰も妬まず
お多福という紫陽花の丸い萼 水滴ためて緑を映す
生きている意味を求めて駆け抜けた最期の言葉「愛しています」